三助の気合術 ある時三助は実弟と真剣勝負をした。弟は鉄砲の名人だった。双方十分ないでたちで庭に出た。 三助は刀を抜き、弟は鉄砲に実弾を込め、10間(約18メートル)ほど離れて双方向かい合った。 三助は真剣をぴたりと構えると、鋭い気合をかけた。 するとその瞬間に、弟の方から見ると、今まで見えていた三助の姿は刀に遮られ、 全く見えなくなってしまった。鉄砲で狙いをつけようととしても、ただ刀が光っているだけである。 そのうち1秒たち2秒たち、今にもどこからか、目にもとまらない速さで三助の刀が いつ斬り込んでくるか分からないと思った瞬間、頭が電光で打たれたようにしびれた感じがした。 その途端、弟の身体には汗がどっと出、鉄砲を握っている力は急に弱まり、戦う気力も全くなくなり、 ついには「参った」と鉄砲を置いてあやまってしまったという。